昼間からワインとステーキ
6年同棲したオーストラリア人の元パートナーと別れた今、私は昼間からワインを飲み、ステーキを食べる女になった。最近買った高さ調整式ダイニングテーブルで、優雅に、そして自由に。
そして今夜、ついにあの呪いの家具——ローテーブルを粗大ゴミに出す。
彼の夢と、私の現実
引っ越した当初、彼はこの10畳(キッチン込み)のリビングに「ソファとローテーブルと47インチのテレビは必須だ」と主張した。私は仕事用デスクも置きたかったので、そんなスペースはない。
一応、元内装屋として図面も引き、スケールで計測して説得を試みたが、広い家で育った彼には「隙間10センチは通れない」という現実は響かない。彼は「どうにかなるさ」と笑った。いや、ならないんだよ。
呪いのコンビネーション
ソファで食事もできる低めのダイニングテーブルを提案したが、「そんなの見たことがない」と即却下。ソファ+ローテーブルは、彼にとって文化であり常識だった。
私にとっては食事にも勉強にも低すぎる意味不明な組み合わせ。けれど「案外便利かも」と思ってしまった私も甘かった。結局、膝に皿を乗せて食事する生活が始まり、ローテーブルは彼の物置と化した。
ゴミ屋敷への道
朝起きればペットボトル、マグカップ、爪切り、耳かき、書類。夜帰宅すると、それらは朝と同じ位置に鎮座している。食器の片付けを頼めば「洗わなくてもまだ使える」と言う。
私が片付けをやめると、ペットボトルは干からび、空箱は冷蔵庫に残り、トイレットペーパーの芯は永遠にゴミ箱へ行かない。部屋は「彼の脳内ショールーム」から「ゴミ屋敷の実写版」へと進化した。
さようなら、意味のない家具
この片づけ問題は、別れた理由のひとつだ。毎日が長い葬式のように感じられた。
そして今日、その負の記憶を詰め込んだローテーブルが消える。
サヨナラ。お前は私の人生で、唯一、床に座らないと意味を成さなかった家具だ。